とある大学生の経済教室

日々の生活に潜む経済ネタ等について。

日本もチップ制度を導入すべきと考えるワケ

チップ制度の意義

突然ですが、チップ制度、ご存知ですか。

 

そう、アメリカへ旅行に行くと支払わされる、アレです。

 

日本人の多くは、好印象を抱いていないのではないでしょうか。

 

“なんで明示された定価があるのに、それに加えてさらに十数パーセントものお金を支払わなくてはいけないのか” 、と。

 

ごもっともな意見です。

 

そもそもチップ制度って、何のためにあるのでしょうか。

 

Wikipediaによると ”良いサービスをしてくれたことに対する心づけ” とのことです。

 

 

もちろんそのような側面はあるでしょうが、やはり、最低賃金かそれに準じる時給で働く労働者への賃金補填という面があるということが重要なポイントであると思います。

 

例えばレストランの店員、ホテルの清掃員――彼らは、ほとんどが非正規雇用であり、その賃金も非常に安く抑えられています。

 

そして彼らにとってのチップは、そのまま生活を左右する大切な収入源です。

 

だからこそ心地の良いサービスをしようという意識の底上げにもつながります。それをお金で買ってくれる人がいるからです。

 

 

日本社会の疲弊

翻って日本ではどうでしょうか。

 

「善意が買い叩かれている」、「サービスは無料」、そんな社会です。

 

もちろん、そこには良い面もあるでしょう。

 

 

善意が全て金銭と絡むなんて、そんな社会こそどうかと思いますし、

いわゆる ”道徳心” を嫌う方もいるようですが、個人的には集団社会を構成する上で不可欠なものと思います。

 

 

もしチップ制度が存在したら...

しかし、もし仮にチップ制度があったら、と考えてみましょう。

 

以下の記事から推測するに、ヤマト運輸の配達員の1日あたりの配達個数は、およそ150~200個。

 

 

ヤマト運輸は宅急便の料金を引き上げました(*1)が、仮に値上げを行わないとして、その代わりに受け取りの際に皆が50円をチップとして支払うようにしたらどうでしょうか。

 

(*1) 一例として東京→大阪の60サイズ通常運賃は800円から140円値上げし940円に

 

単純計算で1日当たり7500円~10000円、1か月にして15~20万円が直接配達員の手に入ることになります。

 

 

チップ制度の負の側面

もちろん、チップがすべてを解決するわけではありません。

 

アメリカでは、チップをもらえる仕事はその分があらかじめ考慮された低い賃金が設定されるが故に、

逆に生活が、天候にさえ左右されるような(*2)事態も起きているようです。

 

(*2) 天候が悪いと客足は伸び悩みますから

 

 

また、チップをもらえる職ともらえない職の格差、

 

例えば同じレストランで働くにしてもチップをもらえるのはサービスをする人であってコックはもらえない、

 

などといった問題もあります。

 

 

そのため、チップ制度を廃止して正常な(定額の)賃金を支給しようという動きも広まりつつあるのが現実です。

 

 

 

現代になじむ形のチップ制度とは

そもそも究極に資本主義を突き詰めれば、

レストランの従業員は労働市場の需給によって設定された賃金(おそらく最低賃金とそう変わらない)のみを受け取るべきで、

 

客がそれ以上のお金を支払うのであれば、

一度会社に収めるべきだということになるでしょう。

 

 

そこを、善意での対価という形で直接現金でやり取りをしようという、

ある意味かなり古い仕組みが今日まで残ったのが欧米のチップ制度です。

 

税金の計算も複雑になり、時代に即さなくなっているという面は否めません。

 

 

だから、 ”日本もチップ制度を必ず導入すべき” と言うと多少語弊があるのです。

 

少なくとも欧米型の、上述したような問題も山積みのチップ制度をそのまま今から導入するのはかなり厳しいと言わざるを得ないと思います。

 

 

しかし、チップ制度が担ってきた本来の役目、

 

すなわち低賃金の労働者への賃金補填、また、良いサービスや善意にお金で感謝を表現できるシステムは、

 

今の疲弊した社会の問題点、すなわち格差の拡大や、ドメスティックな単純労働者への賃金下押し圧力(しかし彼らの存在は絶対に必要である)を解消するのにかなり適合性の高いものであるはずで、

 

そのまま葬り去るには惜しいものだなぁと思うわけです。