とある大学生の経済教室

日々の生活に潜む経済ネタ等について。

メディアのウソ

 最近、メディアが偏向しているだとか、事実確認もせずにまとめサイトから引っ張ってきた内容を報じていると度々話題になっています。

 

 正直、一読者の立場では真実が何なのかも分からないものが大半ですが、今回あまりにウソだらけの以下の記事を見つけたので、反論する形でブログにしたいと思います。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

 一部を指摘する形でもよいのですが、笑ってしまうくらい全てウソなので記事を引用しつつ紹介します。

 

   またそのため文章が長めになっていますが、最後までお付き合いいただけると幸いですm(_ _)m

 

 

 まず、冒頭。

 

 

>ひとたび事故を起こせば、多数の乗客の命が危険に晒される。

>それだけに飛行機には日々、入念な点検・整備が行なわれており、とりわけ日本のエアラインは高い安全性で世界的に評価されてきた。

 

 →これは事実でしょう。まあこんなところがウソでも困りますが。(笑)

 ちなみに統計的にも、日本の航空会社の安全性は証明されています。

 

www.travelvoice.jp

 

 

 

>だが、JAL機エンジン火災事故を取材する過程で、重大な懸念が浮上した。

 

 →あくまでこの時点では微妙なところですが、後述する理由により "懸念" 自体がウソなので、ウソということになります。

 

 

 

>〈高い運賃を払って日本の航空会社を利用するのは、“安心”を買っているようなもの〉

 

>──こうした評価が成立してきたのは、日本人による丁寧なメンテナンス、いわゆる “日本品質” への信頼があったからだ。

 

 →日本の航空会社の運賃が高い、メディアで散々言われているのでなんとなく記述したのだと思いますが、これ実はウソです。

 

 数字の出ている昨年度決算で、例えばキャセイパシフィック航空(以下CX)と比較してみましょう。

 

 収入の指標とされる国際線のイールド(1人を1km運んで得られた収入の平均)は、CXが7.79円JAL(以下JL)が10.2円となっており、一見正当性があるように見えます。

 

 しかし、JLの方が上級クラスの比率が高い仕様である他、エコノミークラスの前後幅も広めで、同じ機材でも座席数にかなりの違いがあります。

 

 例えばB777-200という機材で比較すると、CXの335席に対し、JLは236席。先ほどのイールドと掛け算すると、1機あたりではCXは「7.79×335=2610」、JLは「10.2×236=2407」となり、一転、JLの方が低い運賃で経営していることになります。

 

 しかもCXは赤字を垂れ流していますが、JLは黒字を計上しています。

 

 もっとも、日系航空会社を安全面で信頼している人が多いというのは事実でしょうが。

 

 このウソはスルーするとして、では整備費削減で低コスト化を図っていると主張したいのでしょうか。続いて読んでいきましょう。

  

 

 

>その信頼に疑問を生じさせているのが、9月5日のJAL機エンジン火災事故である。

 

>午前11時過ぎに羽田空港を離陸したニューヨーク行きのJAL6便は、2つある主翼エンジンの1つから突如、出火し、約1時間後に羽田に緊急着陸を余儀なくされた。

 

>離陸の際、乗客が感じたのは5回の「ガーン」という轟音と何かに乗り上げたような衝撃。。

>エンジン内部では、タービンにある222枚もの羽根が破損していた。

  

→航空機のエンジンは、いわば巨大な扇風機です。その羽を回してニューヨークまで飛んで行きます。特に離陸時には2つのエンジンで数百トンの機体を浮揚させるほどフル回転で。 

 

 つまり、エンジンの機構の部分はともかく、タービンブレード(羽根)は所詮ただの部品であって消耗品なわけですね。メーカーの交換推奨期間というものがあって、定期的に交換をするものなのです。 

 損傷や、事故自体が乗客へ不安を与えているのは事実であり、好ましくないのは当然ですが、消耗品なのですから損傷自体は数年に一度はある訳ですね。 

 

 ハッキリ言って、どこに閾値を引くかという問題ではありますが、消耗品はいくら交換頻度を短くしても消耗をゼロにするというのは不可能です。むしろその程度の頻度で抑えられていれば十分でしょう。 

 

 ANAも、ブレードの腐食は公表するほどの問題ではないという認識です。

 

 

 そもそも破損というのはエンジンメーカーも想定していて、破損したブレードがエンジンの外に出ない、つまり機体に当たらないことに重点を置いて設計しています。

 

 冷静にエンジンを止めてもう片方のエンジンで緊急着陸をすれば何も問題ないわけですね。

 

 エンジンの不具合どうのという問題ではなく、本質は消耗品をどの程度で交換するかという問題なのです。

 もっとも、より安心を取るには、交換頻度は上げるべきなのかもしれませんが。

 

 

 つまり、そもそもタイトルで煽っている整備ミスと今回の事故との関連性は見出せない、ということなのです。。

 

 

 

国土交通省の担当記者が振り返る。

 

>「国土交通省は翌日、《発動機の破損に準じる事態》として重大インシデントに認定しました。つまりは乗員・乗客248人とともに『墜落の危機にあった』といっているに等しい」

 

 →もちろん、 ”墜落の危機にあったと言っているに等しい” 訳ではありません。

 

 

 

>専門家の間でも「エンジンの製造不良」や「整備不良」など様々な可能性が指摘されている。 


 →書き方からして専門家には聞いていないのに記者が憶測しただけかと思いますが、ここで全く関係のない整備ミスに話題をうまく転換したようです(笑) 

 

 

 

>そうしたなかで気がかりとなったのが、「日本の航空会社は中国の下請け企業に整備を任せている」──という情報があったことである。調べを進めると、確かにその通りだった。

 

>日本の航空各社は1990年代半ばから、機体に必要な整備や修理を国交省が認定するアジアの工場に委託していた。

 

>とりわけ日本や米国の航空会社からの需要を取り込んで急速に規模を拡大してきたのが、中国福建省に本社を置く「TAECO社」とシンガポールの「SASCO社」という2社の整備専門会社(MRO企業)だ。そういった中国やシンガポールMRO企業には、どのような整備が委託されているのか。

 

→これは、確かに事実です。

 

 しかし、まさに記事でも触れられている通り、米国の航空会社も、他に欧州の航空会社も含め全世界の航空会社がこの会社に整備を委託しています。

 

 米国の航空会社の整備を受託してる、つまり米連邦航空局(以下FAA)の認証を受けているということなのですが、これがなかなか凄いことで、認証を受けるのが非常に難しいのです。

 

 FAAは国産ジェットである  MRJの認証をようやく今年の6月に出した(認証をなかなか取れなかったことも開発遅延の一因)他、

 数年前に飛行を始めた中国の国産ジェットにはいまだに認証が下りていない、

 数年前までフィリピン、インドネシアの航空会社はそもそもアメリカへの乗り入れが禁止、

 タイの航空会社も乗り入れ禁止まではされなくとも警告リストには載っており、増便と路線の開設が禁止されています。 

 

 この厳しいFAAの認証を受けていて、JLをはじめとする航空会社の整備士も最終チェック役として駐在しているこの会社を信用しないとなると、もはや偏見でしかありません。

 iPhoneは中国で組み立てているから部品のつけ忘れがよくある、とでも考えているのでしょうか。

 

 

 

>航空各社がMRO企業への委託を推進した2000年代前半、JALでは経営合理化に反対する労働組合が、海外委託整備への不安と懸念を表明。

 

>当時、JALでは海外で整備された機体に不具合が頻発していた。

>その一例が、「日本航空乗員組合」の『乗員速報』(2006年10月8日号)に掲載された「燃料タンク内部でマニュアル発見」という一件だ。

 

→この労働組合、昔から過激な主張を繰り広げる組合として有名です。

 「パイロットの平均年収が1800万円では生活できない。賃上げをしなければ安全が保障できず、ストを行う!」など。

 破綻後はさすがに落ち着きましたが。

 

   もっとも、労働組合が賃上げを求めるという事実は否定するものではありません。しかし、主張がいちゃもんレベルで正当性を疑うものであれば、彼らの主張をソースにするというのは、メディアとしては誤っていると言わざるを得ないのではないかと思います。

 

   しかも、この組合を支持するのであればまだよいのですが、メディアはこの組合を「親方日の丸の、殿様気分に浸った組合で、破綻の一因」と報じていましたから滑稽です。 

 

 第一、日本で整備すれば、マニュアルを機体に残したままにしてしまうことはないのでしょうか?

 

 ヒューマンエラーは当然最小化を図るべきですが、ゼロにするということは実質不可能で、厳密な意味で追求すれば一つでもミスを犯した社員はその時点で即解雇しろ、というのと同義になります。

 

   この労働組合やメディアが騒ぎそうです。

 

 

 

>こうした海外MRO企業による整備が拡大したことと、今回のJAL機エンジン火災に関連はないのか。JAL広報部はこう答えた。

 

>「事故機は全て国内で整備を行なってきた機体です。海外委託が事故につながったということではありません」

  

→(°▽°)

 

 JLに直接インタビューして、 ”事故機は国内で整備した機体” だと聞いているのですね。。

 

 であればこの記事の趣旨に沿うと、”国内整備は信用できない。100%中国の整備会社に任せるべき”とするのが自然ではないでしょうか。

 

 もっとも、前述の通りそもそも今回の事故の原因は、整備の問題ではないのでイロイロ矛盾しすぎです。  

 

 

 

>海外の工場で整備した機体に今もトラブルが続いているのではないか、という問いには、「整備担当者に確認しましたが、記録のボリュームが大きすぎてすぐには回答が難しい。

>ただこの2~3年でそうしたトラブルが起きたとは聞いておりません」とした。

 

>一方、ANA広報部は次のように回答した。

>「整備の品質について、海外と国内の間に全く差はないものと考えています。海外で整備された航空機を受け取る時は、当社のスペシャリストチームを派遣して受領検査を行なっている。過去のマスクの不具合についても再発防止策を講じており、現在では問題は起きていません」

 

>TAECO社やSASCO社に足を運んで取材した経験を持つ、航空評論家青木謙知氏はこうみる。

>「アジアのMRO企業の整備技術、能力は日本に比べても遜色ないものと思います。TAECO社については、設立当初からボーイングJALも出資して人も派遣し、技術レベルを高め、米連邦航空局の認定も受けている」

 

>海外に整備を任せられる、というのである。

  

→実際に航空会社に聞いても事故が起きていない、評論家の ”安全面では日本と遜色ない” という意見を紹介しておきながら、最後の一文で突然それはないと否定。筆者の主観で。

 

 であれば前半の文章はもはや不要なのではないでしょうか(笑)。

 

 記事を嵩増ししてページ数を増やし、広告収入を得るためでしょうか。  

 

 

 

>さらに本誌は、中国のTAECO社の広報担当者に直接、話を聞いた。

 

>──これまでの整備実績は?

>「ANAからは200機以上、JALは100機の請負実績がありますが、ほとんどは機体構造をチェックして給油や装備品の交換をするC整備です」

 

→まず、タイトル ”JAL機体の3割は「中国の工場」で整備されていた” ではJLばかりが中国の整備会社に委託しているとも読めますが、ANAの方が2倍以上委託しているという事実。

 

 そして、飛行機の整備には ”T・A・C・M” の4種類の整備があり、C整備というのは ”機体構造をチェックして給油や装備品の交換をする” と記事に書かれている通り、新シート設置など内装換装の単純作業であることが読み取れます。


  一方、エンジンや機体の分解レベルで行う整備はM整備と呼ばれ、主に国内の整備士が国内で行っていると思われます。

 

 では、中国で行っているC整備とエンジンの整備不良に何の因果関係があるのでしょうか。

 

 指摘するのであれば、ANAの飛行間点検廃止を記事にした方がまだ大義はあるように感じられます。

(要約すると、フライト間の整備士による確認の頻度を見直したというものです。あくまで航空機メーカーの基準では不要なものを、JALANAは余計に行っていたのですが、ANAは廃止したというもので、厳密な意味では問題とはいえません。)  

 

 

>──JAL機のエンジン火災についてはご存知ですか。

>「ちょっとわかりません。ただエンジンについては基本検査だけで、内部の整備はやっていません。テストフライトをしてエンジンに不具合があれば、メーカーに報告して取り替えてもらいます」

 

 

→分かりません、と回答しているので責任放棄だ、と主張したいのかもしれません。

 筆者なりの、最後のとどめの一発なのでしょう。

 

 しかし、そもそもエンジンの内部整備はやっていない、と答えているのに何を聞きたいのでしょうか。  

 

 

 

 以下、続

 

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